気候変動・環境汚染と資源活用・水利用への対応

当社グループは、2018年度に特定した持続的な企業価値向上に向けた重要な経営課題(マテリアリティ)の冒頭に「気候変動による事業環境変化への対応」を掲げており、気候変動への対応を経営上のリスク及びビジネスチャンス創出の機会と認識し、その対処に取り組むとともに、進捗にかかる情報開示に努めており、気候変動課題に関し、以下2点の情報開示を行っています。

1. カーボンニュートラルに向けた温室効果ガス(GHG)の排出削減目標を策定

当社グループの事業活動を通じたGHG排出削減目標を策定し公表しています。
詳細は2022年5月13日付プレスリリース「トーヨーカネツグループのカーボンニュートラルに向けた取り組みについて」をご参照ください。

対象範囲

当社単体および国内海外連結子会社における「Scope1排出量+Scope2排出量」

  • Scope 1排出量: 自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出
  • Scope 2排出量: 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出

GHG削減目標

  • 「2050年までにカーボンニュートラルを達成」
  • 「2030年までに2019年度対比で50%に削減」

当社グループにおいて省エネルギーや再生可能エネルギー導入をはじめとしたGHG排出削減活動を推進し対象範囲のGHG排出量を2050年までにカーボンニュートラルにします。なおScope3排出量については、仕入先・顧客と協働し、バリューチェーンを通じた削減の取り組みを推進していきます。

Scope3:事業活動のサプライチェーン内で間接排出されたScope1・2以外のGHG

2. TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく情報開示

当社グループはTCFD提言に賛同し、同提言の枠組みに沿って、外部専門家グループの支援を受け、開示を行いました。
詳細は2022年6月28日付プレスリリース「トーヨーカネツグループのTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示」をご参照ください。

ガバナンス

当社グループにおける気候変動リスクを含むビジネスリスクは、取締役会によって指名された取締役を委員長とするリスク管理委員会が管掌し、同委員会は必要な計画の策定と実施を推進します。なお、リスクマネジメント室が同委員会の事務局として機能しています。
リスク管理委員会の構成メンバーは、各事業本部において当該事業を管掌する取締役ないし執行役員の中から選任され、この選任を通じて、各事業部門間での取り組みが共有され、業務計画等の立案・実施において気候変動課題が考慮される仕組みとなっています。

戦略

当社グループの経営に重要な影響を及ぼす可能性のある気候変動リスクおよび機会を特定し、シナリオ分析を実施しました。
分析にあたっては、 原則として2050年までの期間を対象とし、短期(3年程度)、中期(2030年まで)、長期(2050年まで)の3視点で、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照しつつ、2つの気候変動シナリオ(産業革命以降の今世紀末までの平均気温上昇が2℃未満のケース、4℃のケース)に基づく世界観を想定し、網羅的に分析を行いました。
2つのシナリオに基づくTKKグループのリスク及び機会とそれらに伴う事業及び財務への影響を検討したところ、現時点で2050年までを俯瞰すると、TKKグループの2020年度連結売上高で概ね85%を占める主力3事業(物流ソリューション事業、次世代エネルギー開発事業、プラント事業)での全般的な財務的影響は「機会」が「リスク」を上回るとみています。物流ソリューション事業では、気候変動による物流現場の環境悪化や少子高齢化等の流れから、高度な省力化・省人化物流システムへの需要には継続的な伸びが期待でき、「機会」が「リスク」を十分に上回ると考えます。

他方、次世代エネルギー開発事業では化石燃料の使用が制限されていくことに伴い、従来の石油・ガス貯蔵タンクの新設需要は減少しますが、替わって次世代エネルギーである水素と燃料アンモニア向け、あるいは液化CO₂向けタンクの新設需要が出てきて、これをカバーすることが期待できます。プラント事業でも既存の石油・ガス貯蔵タンクのメンテナンス需要は徐々に低下しますが、次世代エネルギー貯蔵タンクへの改造やこれらのタンクのメンテナンス需要も見込まれます。2050年までを通してタンク関連2事業全体を見た場合、「リスク」と「機会」はほぼ均衡するものと考えます。

リスク管理

企業を取り巻く環境が複雑かつ多様化する中、当社グループは、事業に重要な影響を与えるリスクの適切な管理を重視し、グループの重要経営課題(マテリアリティ)においても「リスクマネジメントの高度化」を掲げています。
リスク管理委員会は年2回以上開催され、取締役会及び経営会議に定期報告を行うことになっており、経営会議では、リスク管理委員会からの報告・答申等に基づき、必要な協議・決議を行います。取締役会は、経営会議およびリスク管理委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループの気候変動課題への対応方針および計画の実行と進捗についての監督を行います。

指標と目標

GHGプロトコルに準じて算出したサプライチェーン排出量の算出結果は以下の通りです。

Scope1排出量(国内外を含むグループ全体)

  • 2022年度:2,155t-CO₂e
  • 2023年度:2,292t-CO₂e
  • 2024年度:2,375 t-CO₂e

Scope2排出量(国内外を含むグループ全体)

  • 2022年度:2,466t-CO₂e(オフセット量:1,022t-CO₂e)
  • 2023年度:2,403t-CO₂e(オフセット量:1,032t-CO₂e)
  • 2024年度:2,695t-CO₂e(オフセット量:1,238t-CO₂e)

Scope3排出量(国内外を含むグループ全体) (単位:t-CO₂e)

  • 2022年度:285,324 t-CO₂e
  • 2023年度:270,508 t-CO₂e※
  • 2024年度:398,293 t-CO₂e

Scope3排出量(国内外を含むグループ全体)のカテゴリ別データ (単位:t-CO₂e)

  2022年度 2023年度 2024年度
1.購入した物品、サービス 127,331 192,972 179,042
2.資本財 2,902 5,048 6,981
3.Scope1,2に含まれない燃料及びエネルギー関連活動 831 873 863
4.輸送・配送(上流) 12,020 6,370 6,880
5.事業から出る廃棄物 350 474 288
6.出張 183 186 191
7.雇用者の通勤 437 447 452
8.リース資産(上流) - - -
9.輸送・配送(下流) - - -
10.販売した製品の加工 - - -
11.販売した製品の使用 136,121 63,048 202,799
12.販売した製品の廃棄 1,939 159 652
13.リース資産(下流) 3,210 1,017 145
14.フランチャイズ - - -
15.投資 - - -

連結(単位: t-CO₂e)

  • 2023年度のScope3カテゴリ5は算出見直しにより修正

GHG排出削減に向けての施策について、Scope1・2排出量は、2021 年度で57%が電気使用、33%がガソリン・軽油の消費に由来するものであることから、カーボンニュートラルに向けた目標達成のための取り組みは、再生可能エネルギー由来の電力調達および将来的な社用車EV 化に重点を置くことが必要と考えています。
Scope3 排出量は、製品の使用過程における消費電力の削減などカテゴリー別の具体的対策を検討し、また仕入先・顧客とも協働し、GHG排出量の削減に向け、対策の立案とその推進に取り組んでまいります。
さらに、2022年度より、GHG排出削減効果の大きい新規設備投資を促進していくことを目的に、設備投資計画の検討において、設定した社内炭素価格を適用し仮想的な費用に換算することで、投資判断の参考とするInternal Carbon Pricing 制度を導入し、脱炭素投資の推進をしてまいります。

3.環境汚染と資源活用

基本的な考え方

事業活動全体で資源循環や環境負荷の低減に取り組むことで社会全体の持続可能性に貢献することを目指しています。限られた資源を有効に活用し、廃棄物削減と環境負荷の低減を推進します。 そのため、ISO14001に基づく環境方針を策定し、有害物質使用制限指令(RoHS2)に準拠した設計を実施しています。さらに、省エネ型製品への展開、原材料の有効利用及び廃棄物の削減に取り組んでいます。 具体的には、物流ソリューションやプラント事業において、製造工場や建設現場等から発生する鋼材等の金属くずをリサイクル業者に委託し、資源循環を促進しています。今後は、グループ全体で資源効率化と廃棄物削減推進する方針を新たに策定する予定です。

環境汚染の予防

大気汚染物質や有害化学物質の排出による環境リスクを低減することを重要な取り組みとして位置付けていま す。NOx、SOx、VOCの排出をグループ全体で定期的に集計・モニタリングし、改善策を検討するなど、汚染削減 に向けた取り組みを開始しています。
また、当社主力製品である搬送コンベヤについて、ライフサイクルにおける環境影響を考慮し、特に使用段階の 環境負荷を定量的に評価しています。 従来の汎用モータと比較して高効率モータを採用し、搬送に必要な部分の みを運転する分散駆動制御を行うことで、これまでの搬送コンベヤに対して消費電力量を最大で77%(約 122,400kWh/年)を削減し、CO₂排出量を約53.6トン削減しています。(当社テストパターンによる比較)。
さらに、省エネルギー性・安全性・環境保全性を考慮し、付属機器などもエア駆動から電気駆動に積極的に移行 することで、コンプレッサによる電力消費と廃水処理時の油分流出リスクを抑制するなど、ライフサイクル全体 で環境に配慮した予防を実現しています。

廃棄物または資源利用の削減

主力事業である物流ソリューション及びプラント事業部門において、廃棄物の削減及び原材料の有効活用を目標に掲げ、少ない資源で生産性の高い設計を心がけるよう、関係者へ周知しています。特に、和歌山工場では、廃棄物の削減を目指した発生しない設計製作活動をしております。また、本社においては、使用済みコピー用紙の裏面利用を積極的に促進するとともに、回収業者による古紙の適切な処理を通じて、廃棄物の削減に取り組んでおります。また、承認行為のペーパーレス化を導入し、企業のDX推進に貢献しております。

4.水利用

基本的な考え方

水資源が限られた重要な資源であることを認識し、事業活動における水の使用量削減と効率的な利用に取り組みます。
人口増加や産業発展気候変動による水利用の非効率化水源の汚染・破壊など、世界的な水不足の要因を踏まえ、企業としての責任を果たすべく、水資源の保全と水質改善に努めていきます。

水ストレス地域への対応

当社グループでは、世界資源研究所(WRI)の水リスクマッピングツール「Aqueduct」を使用した調査を行いました。その結果、国内においては、水ストレス地域に該当する活動拠点はありませんでした。しかし、海外においては、High Risk以上にあたる地域は10拠点のうち1拠点(10%)、インドネシアのバタム工場で確認されました。High Risk以上に分類された拠点では、ステークホルダーへの関与・サポート活動を含めた今後の対策を検討し、水リスク管理を推進していきます。

水ストレス地域の取水量と排水量

  2022年度 2023年度 2024年度
上水道からの取水量 3,362 2,388 3,043
雨水からの取水量 2,005 2,490 2,351
排水量 5,367 4,878 5,394

連結 (単位:㎥/年)

水使用量の削減

事業活動全体で水資源の有効利用を重要な課題と位置付け、国内外の事業所やオフィス、工場において水使用量の削減に取り組んでいます。
具体的な水使用量の削減施策として、国内拠点では流量センサーを最適に調整した自動水栓や節水型トイレの普及率を高め、また、手洗い時等の節水に務めるように社員へ周知しています。水ストレス地域に位置しているバタム工場では、雨水を回収し、機材の洗浄、或いは、手洗い等に水道水に代わって利用し、水の使用量削減に努めています。

水マネジメント関連コスト

当社では、気候変動に伴う水害リスクや水質悪化を重要な課題と認識し、以下の取り組みを進めています。

  2024年度
水関連リスク発生時の対応費 100
水関連リスクを抑制するための研究開発費
(排水水質維持や上水水量確保のための調査費用等を含む)
3

(単位:百万円)

グループ会社の取り組み

マックスプル工業株式会社では、ウォーターエイドジャパンに活動資金提供を行い「すべての人々がすべての場所で、清潔な水とトイレを利用し、衛生習慣を実践できる世界」を実現できるよう支援しております。