トーヨーカネツとは?

東洋火熱工業株式会社として1941年に創業、工業窯炉の製造・販売から機械・プラント事業をスタートすると、高度経済成長期はいち早く海外進出を果たし、中東やアジアで数多くのタンクを製造しました。現在までに国内外で製造したタンクは5,700基。国内外での製造数やメンテナンス事業は業界トップクラスの実績を誇ります。

ある現場。

堺LNGタンク建設、工務部組立担当、H.Fの場合。

タンクの巨大さに友達は驚いた。
私は小さいと思った。

大阪・堺泉北臨海コンビナート。石油・化学プラント、鉄鋼・金属工場、発電所が建ち並ぶ東京ドーム364個分の敷地のなかに、現場はある。
そこに建つLNG(液化天然ガス)タンク1基の建設を、私は手掛けている。
タンクの総容量は14万kl。電力にして15万世帯が1年間に使用する量に担当する。内径79.9mは、ボーイング787がすっぽり入る大きさ。高さは33.8m、10階建てマンションとほぼ同じだ。
「これを担当しているんだよ」と友達に見せたときは、その大きさに驚かれたが、私は小さいと思った。ここに来る前に4年間手掛けていたタンクは総容量36万KL(18万KL×2基)、高さは約54m、ボーイング787なら3機格納できた。
規模だけではない。この仕事は、社会的意義も大きい。
タンクをつくることは、それだけでエネルギーの安定供給につながる。それに、今手掛けているのはLNGのタンクだ。LNGは、石油や石炭よりCO2排出量の割合が少ないから、環境にやさしいクリーンエネルギーとして期待が高まっている。
普段意識することはないけれど、何かの拍子にふと思うことはある。「オレ、ニッポンのエネルギーを支えているのかも」って。

100人の職人たちに指示を出し、
その作業を見守る。

現場の仕事は、トーヨーカネツの仕事の総決算だ。
すべてのもとになる顧客の要望を「営業」が把握し、それを「設計」が目に見える図面にする。その図面をもとに、「調達」がそろえた素材や部品を用いて、「溶接」が案件ごとに考えた溶材・工法を使って、現場で組み立てていくのが私たち「工務」だ。
私の担当は「組立」、言うなれば現場監督である。鉄板、工具、足場環境などを工事が始まる前にすべて用意し、部分ごとに溶接、検査と進む工事の進捗を管理をするのが仕事である。
組立や溶接の実作業をするのは熟練の職人たち。
工事がピークのときは100人ほどになる彼らに、10人ほどの私たち組立が指示を出す。そして、作業に遅れはないか、定められた基準・工法を守り作業しているかなどを見守る。
炎天下の夏。海風吹き荒ぶ冬。作業中は、鉄をたたく音で声も聞こえなくなる。普段は、ヘルメットと作業服、タンクに登るときは安全帯も欠かせない――そんななかで職人たちと仕事を進めるうちに、私も彼らと同じように陽に灼け、逞しくなった。

完成後、タンクのてっぺんから見た
夕陽は忘れない。

トラブルが一つもない現場なんてない。
天候不順。技術的な制約。どんなに優秀な職人もミスをすることはある。次々と起こるアクシデントを、いかに短時間で効率よく解決するか、毎日毎日頭をひねる。
強度計算された高さ30mの構造物が、クレーンで引き上げられていくときのドキドキ感。海外からの調達品が遅れたときの焦り。
すごく難しい仕事。責任も重い。けれど、最高に楽しい仕事でもある。
所長や職人たちからアイデアとアドバイスをもらいながら、一緒になって壁を乗り越えたときは格別だ。作業が終わったときの達成感も半端ない。

以前の現場が終わりを迎えたとき、職人たちの帰ったタンクの屋根にひとり登り、眼下に広がる夕陽を見たことがある。こみ上げる「やっと終わった」という安堵の気持ち。あれは今でも忘れない。
あんな気持ちを、きっとこの現場でも味わうのだろう。もうすぐここでの仕事も終わる。
そして、数日後には、新しい職人たち、新しい難しさ、新しいやりがいと達成感の待つ別の現場が始まるのだ。
これが、私の現場。これが、私の仕事。